爺と孫

孫って可愛もんだと自然に思える。自分の子どもと違って責任から開放されてる
分だけ無償に愛をやれるんだろうかね。


中国じゃ子供の面倒は田舎の爺さんと婆さんがやって、旦那の嫁さんは絶対に仕事を辞めない
みたいだけど、親に代わって面倒見るなんて俺にはそんな体力ないよ。というか子供に毎日会
えなくて寂しくないのかな。


「おじいちゃん。これできる?」と持っている携帯コンピューター・・タブレットってやつを
見せてくる。「ちょっと見せてと」孫から借りて見てみるとパズルゲームみたいなもので
あまりやり方がわからない。


テトリスとかならわかるんだけど・・これはわからないね」と多分、やればわかるんだろうけど
面倒なのでタブレットを返す、本当に新しいことを覚えるのは面倒だ。


孫は直感的にわかるんだろうね。何回かゲームをすると要領を飲み込んでしまうようだ。
熱心にタブレット上で指を動かし絵柄を揃えていく。


「凄いね。すぐにルールがわかって、賢いな」


「簡単だよ。指で動かすだけだもん。おじいちゃんもすぐできるよ」


「うーん。けどお爺ちゃんは、きっちり命令をキーボードで打ってそれに対してリプライが
ないと不安なんだよね」


「なんで?指で動かすのも、パソコンのキーボードも一緒じゃない」


「いやね。今のタブレットとかって、直感的すぎるでしょ。つまり、勉強しなくても
全部勝手に設定とかしてくれるじゃない。メールとか。おじぃちゃんとかの時代だと
メールってもさ送るにも、受け取るにも設定があってね。SMTPとかPOPとか
まぁ、ちょっとは仕組みが分かってないとできなかったのよ。」


「いまなんてメール使わないよ。チャットするから」


「そうなんだよね。けど仕組みが分からない技術を使うのが怖いわけよ。」


「うーん。僕は遊びでしか使わないからな〜お爺ちゃんは仕事でも使うからそう
思うのかな」


「いや。若い人とかでもこれ無料だからって、リモートアクセスのソフトウェアを
パソコンに入れたりしてさ。本来はさグローバルIPを確認して、そのソフトに対応
したポートを指定して開放するだんけどさ。そのソフトってそれがいらないわけよ」


「なんかわからないけど、手間が省けていいじゃないかな」


「良いんだけどさ。なんでその手間が省けるんだっていう技術的な問に全く無関心なんだよ。
それってお爺ちゃんからするとすごく怖いんだよ。この車はガソリンなしでも動くけど
どうして動くかはわかりませんみたいな」


「おじいちゃん見たく何か機械を動かす為にはある程度の知識を前提とするってことが
今は少ないから、知るという動機付けが少ないんじゃないかな〜」


「まぁ、ようちゃんみたいな子どもたちにとっては敷居が低いからいいんだろうけどね。
ITへの敷居が低くなればいろんな使い方もできるしね」


「おじいちゃんともたまに、ビデオチャットで話すしね。それに僕、週2回ビデオチャット
英語を習ってるんだよ。それと台湾に住んでる日本のアニメが好きな女の子と仲良くなったんだ
。その子と日本語と英語でチャットしてるんだ」


「まぁ、確かにITがそういった情報コストを下げてくれた面は大きいんだけど・・・
ITがホワイトカラーやブルーカラーの仕事を奪っちゃう面も大きてく
ヨウちゃんが大きくなる時に一体どういった仕事が残ってるのかすごく心配だね」


「ははっ お母さんがよくそんなこと言ってるよ。おじいちゃんも心配なんだね。
公務員が一番安全なのよって」


「う〜ん。それはお母さんが近視眼的だと思うけど。公務員の仕事こそIT化すれば殆ど
削減できるからね。」


「それじゃ、なんでしないの」


「昔、大前研一っていう人が東京都でそれをやろうとしたんだけど、選挙に落ちて出来なかったん
だよ」


「それって、皆が必要としなかったてことでしょ」


「まぁ、結果的にそういうことになるね。都民の総意だね」


「大前さんって人のことは知らないけど。皆が必ずしも正しい選択をするわけじゃないものね。」


本当に孫と話していると幸せを感じる。あんなバカ息子でも産んでおいて良かったと思う。
この孫が大きくなるころまでに社会がどうなるのかを是非見てみたい。最近の子供は
本当に賢いし、ネットで社会を用意に学んでいる・・その反動でアパシー気味であるけれど


長生きはするもんだと思う